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環境

基本的な考え方

ナイスグループは、日本の潤沢な資源であり、地球温暖化対策として重要な役割を担う木材の取り扱いを強化し、建築物の木造化・木質化の推進など、積極的な利用の促進を図ります。併せて、良質な住宅の供給等を通じて環境問題の解決に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。

持続可能な木材の利用促進

木材の持続可能な調達・流通

木は、「伐って、使って、植えて、育てる」というサイクルを回すことで、再生産できる持続可能な資源です。 そのためには、適切な管理がなされている森林から正しい手続きにより生産された木材(合法伐採木材)を利用する必要があります。日本では、2017年に施行されたクリーンウッド法において、登録事業者に対して木材の合法性を確認する努力義務が課されているほか、森林認証制度等に基づく、より持続可能性に配慮した木材の調達・利用が推進されています。
ナイスグループでは、合法伐採木材や森林認証材といった木材製品の調達・流通を積極的に推進しています。製材事業を行うウッドファースト(株)及び木材のプレカット加工を行うナイスプレカット(株)がクリーンウッド法の事業者として登録されているほか、国内外の全52カ所の木材流通拠点、工場においてCoC(管理の連鎖)認証を取得しています。
また、ナイスグループは森林育成から素材流通、製材、加工、製品流通、設計、施工、住宅供給など、建築物の木造化・木質化のサプライチェーンにおけるネットワークを生かし、建築物等への国産木材の積極的な利用の推進を図ることで、国産木材の取扱量を2028年3月期までに65.5万㎥へと拡大することを目標としています。

関東物流センター

グループ会社との連携による森林資源の循環利用

木材の利用拡大を図るためには、木材を使うことの意義について需要側の方々に正しく知っていただくとともに、供給側である森林所有者様や素材生産事業者様との連携を図っていくことが必要だと考えています。
ナイスグループでは、社有林「ナイスの森」の一部から木を伐採し、建築用材として利用しています。そして、再造林と育林を行うなど、森林資源の循環利用を実行しています。ウッドファースト(株)は、伐り出された木を製材します。ナイスプレカット(株)は、全国6カ所に工場を展開し、様々な工法に対応した木材加工を行い、各地域の施工現場へ納材しています。
今後も、品質の確かな国産材を安定供給し、再造林や育林に必要な費用を還元することで、循環型のサプライチェーン構築を目指していきます。

森林資源の循環利用に向けたサプライチェーン

一戸建住宅の国産材比率の向上に貢献

ナイスグループでは、国産木材を梁などの横架材に使用することが可能であることを検証したうえで、オール国産材仕様の家づくりの普及拡大に向けた「国産材パッケージ」を開発、一戸建住宅の国産木材比率の向上に努めています。
同パッケージは、構造材から羽柄材、内外装材に至るまで、住宅一棟分の国産木材をセレクトしてパッケージ化しています。工務店様やビルダー様のニーズに応じて仕様のバリエーションを設定し、邸別にアッセンブル、プレカットして提供しています。

自社供給の住宅で国産木材を積極的に活用

ナイス(株)が供給する一戸建住宅では、日本の気候風土で育った木が日本の家づくりに適していると考え、構造に使用する木材を全て国産木材とする国産木材100%の家づくりを推進しています。
また、新築分譲マンションにおいて共用部の木質化を図るとともに、既存住宅のリフォーム・リノベーションにおいて、積極的に木質化を提案することで、木材利用の更なる促進に貢献しています。

ノブレス駅東公園の共用部(栃木県宇都宮市)

グループの総合力で非住宅の木造化を推進

非住宅建築物の木造化・木質化については、ウッドビルディングネットワークという概念のもとで推進しています。中大規模木造建築を手掛けるうえで欠かせない、「情報」「構造設計」「木材調達」「生産加工」「施工」の各段階で、要望や案件の性質、内容に応じて必要な機能を補完し、最適なソリューションを提供しています。
木造建築物のファーストコールセンター「木造テクニカルセンター」をナイスプレカット(株)に設置しています。お預かりした簡単なスケッチや図面などを基に、木造化の可否や、躯体に関する概算費用について、概ね一週間以内に回答するサービスを提供するなど、建築物の木造化に関する幅広い相談に対応しています。

神奈川県川崎市における小学校の木造化事例

ウッドチェンジで新たな木材需要を創出

ウッド・チェンジとは、身の回りに使われているものを木に変える、暮らしに木を取り入れる、建築物を木造化・木質化するなど、木の利用を通じて持続可能な社会へチェンジする行動のことです。ナイス(株)は、林野庁が2021年9月に設立した「ウッド・チェンジ協議会(民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会)」に参画し、官民での連携を図りながら、国産材の需要拡大に向けた民間建築物等における木材利用の促進等に取り組んでいます。
ナイスグループでは、国産針葉樹の大径材を活用したオリジナル商品「ObiRED®」「Gywood®」といった素材の開発・普及等を通じて、国産木材の需要拡大を推進しています。更に、プライベートブランド「ZENIYA®」において、国産無垢材によるインテリア商品などを積極的に開発するなど、建築物及び家具などの非建築物分野の木質化に役立つ商品開発を進めています。
これを更に推し進め、2023年には「脱プラ・木質化R&Dセンター」を新設、国産木材の魅力や可能性を生かした素材の開発をより一層進めていきます。

「ObiRED®」「Gywood®」による外装の木質化
「Gywood®」によるテーブル用天板

良質な住宅の普及促進

工務店様へのサポートで住宅性能の向上に貢献

2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、2025年には全ての新築住宅・建築物において省エネ基準への適合が義務化されるほか、2030年にはZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保が目指されています。そのような中、ナイス(株)では、国内の新築一戸建住宅の約4割を供給する工務店様に向けて、住まいづくりに関するワークシーンをサポートする「ナイスサポートシステム®」を1988年から提供しています。
本サービスでは、一次エネルギー消費量及び外皮性能の計算をはじめ、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)や長期優良住宅、認定低炭素住宅などの申請代行、更には、これらの基準を満たすための仕様の提案まで、一気通貫で行っています。2022年からは、工務店様・ビルダー様のZEHへの取り組みをトータルサポートするべく、「スマとく」を提供しています。「スマとく」では、省エネルギー住宅の導入に必要な各種計算や積算、見積もりからエネルギー商材を含む建築資材の納入までを一気通貫でサポートしています。
工務店様の高性能住宅への取り組みをサポートすることで、競争力の強化に貢献するとともに、高性能住宅の普及を通じた脱炭素社会の実現を目指して取り組んでいます。

資源の有効活用に配慮した既存住宅流通の促進

日本は、新築住宅の人気が高く、全住宅流通量における既存住宅の流通シェアは約15%と、欧米諸国と比べて6分の1程度に収まっています。一方で、住宅ストック数が世帯数を上回り空き家の増加といった問題が生ずるなか、良質な住宅の供給と併せて、今ある住宅を長く大切に活用していく、ストック型の社会に移行することが求められています。
既存住宅ストックの循環利用に向けた課題の一つが、マンションの老朽化です。築40年以上の分譲マンションは、2021年末時点で約115万戸に達し、20年後には約420万戸にまで増加するとされています。
ナイスグループでは、こうした高経年マンションの再生の一環として、中古マンションの共用部を木質化し、より長く住み続けられる住まいづくりを推進しています。既存住宅ストックの循環的な利用が資源の有効活用につながり、環境に対する負荷低減になるとの認識のもと、既存住宅の流通や付加価値を高めるリフォーム・リノベーションを推進するとともに、住まう方が快適な生活を過ごせるように、適切な管理を行っています。

中古マンションのエレベーターホールの木質化事例
既存住宅の専有部の木質化リフォーム事例

環境負荷の低減、温室効果ガス排出量の削減

ナイスグループは、気候変動への対応や、地球環境の保全を重要な経営上の課題と認識し、温室効果ガス排出量をはじめとした事業活動に伴う環境への影響を把握し、負荷の低減に努めています。
温室効果ガス排出量の削減については、環境目標を達成するべく、拠点への再エネ由来電力の導入を積極的に進めています。2023年6月には当社本社ビルの電力の全量について、トラッキング付非化石証書が付帯された実質再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました。これにより、実質再エネ由来電力を導入した拠点は、全国で29カ所となりました。
加えて、社有車の削減及びエコカーの導入等の省エネ活動を推進しています。

自社排出量の推移(t-CO2

2022年3月期 2023年3月期
Scope1・2合計 11,518 8,746
Scope1 2,703 2,513
Scope2 8,815 6,233

社有林の保全・育成、二酸化炭素の吸収・貯蔵

森林は、生物多様性の保全、土砂災害の防止、水源のかん養、保健休養の場の提供などの多面的機能を有しています。更に、大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を貯蔵しながら成長することから、地球温暖化の原因である二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫としても重要な役割を発揮しています。
ナイスグループは、「木材流通」がルーツである企業として、社有林「ナイスの森」の保全・育成を通じて、地球温暖化防止へ貢献していきたいと考えています。現在、「ナイスの森」の総面積は2,032.2ヘクタールに及び、年間で約7,400トンの二酸化炭素を吸収しています。更に、「ナイスの森」全体では二酸化炭素換算で約61万トンの炭素を貯蔵しています。

  • 熊野の森

    1980年取得/ 140.5ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 572t-CO2
    炭素貯蔵量 67,433t-CO2

  • 丹沢の森

    1990年取得/ 12.2ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 76t-CO2
    炭素貯蔵量 4,413t-CO2

  • 川根の森

    2001年取得/ 102.7ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 710t-CO2
    炭素貯蔵量 41,609t-CO2

  • 猪苗代の森

    2007年取得/ 212.0ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 437t-CO2
    炭素貯蔵量 54,300t-CO2

  • 徳島の森

    2008年取得/ 829.6ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 4,619t-CO2
    炭素貯蔵量 351,784t-CO2

  • 岐阜の森

    2012年取得/ 654.3ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 760t-CO2
    炭素貯蔵量 75,685t-CO2

  • 京都北山の森

    2012年取得/ 50.0ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 24t-CO2
    炭素貯蔵量 3,566t-CO2

  • 津久井の森

    2015年取得/ 30.9ヘクタール
    二酸化炭素吸収量 187t-CO2
    炭素貯蔵量 12,971t-CO2

社有林の適切な整備を推進

当社グループは社有林の適切な整備に向けて、伐採や間伐、再造林等の森林施業を推進しています。2023年3月期においては、約2ヘクタールを伐採、23ヘクタールに対して間伐等の森林整備を実施するとともに、約3ヘクタールの再造林を実施しています。
また、2023年3月期に間伐を実施した「ナイス丹沢の森」の間伐材からは、「木のうちわ」「木糸のハンカチ」「木のファイル」を作成し、ノベルティとしてお客様に配布しています。