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ニュース&レポート

ナイスグループ 「(仮称)泉区中田西1丁目811計画」 多くの事業者が関心を寄せる中大規模木造建築

 ナイスグループはこのたび、元請けとして建築に携わっている「(仮称)泉区中田西1丁目811計画」において、上棟現場見学会を開催しました。木材利用促進の観点から木造建築への関心が高まりを見せる中、多くの関係者で終始賑わいました。今回は、同物件の概要や見学会当日の様子に加え、設計を担当した㈱錬設計代表取締役の梅津庸郎氏のコメントをご紹介します。

経済合理性を重視した設計

 ナイスグループは現在、横浜市泉区において木造2階建てのサービス付き高齢者住宅の建築に携わっています(図1)。本建物は、建築面積が614.54㎡、延べ床面積が999.40㎡で、1階に16室、2階に14室の居室が設けられています。45分準耐火構造とするため、強化石膏ボード等で主要構造部を被覆するメンブレン型工法が採用されているほか、工法としては金物接合仕様の木造軸組み工法で施工されています(図2)。設計を㈱錬設計様が担当し、ナイスグループは木造としての構造設計、木材調達、プレカット加工、元請け施工を担っています。竣工後は、横浜市内を中心にグループホーム運営を手掛ける㈱エイジサービス様が、事業主様より建物を借り受け運営する予定です。

 本物件は、事業主様が保有する土地の有効活用を目的としているため、経済合理性を重視した設計がなされました。建物を構成する木材のほぼ全てに一般流通材を用いた上で、かかる応力によって部位ごとに強度の異なる樹種を使用するなど、コストに配慮した仕様となっています。また、耐力壁についても、外周部には構造用パーティクルボードを、室内側には筋交いを採用することで、効率的に耐震性能を確保しています(図3)。

現場見学会に木造を検討する多くの関係者が来場

 8月9日には、当社の主催及び(一社)木と住まい研究協会の共催によって上棟現場見学会を実施し、大手ハウスメーカーや建設会社、設計事務所、行政・報道関係者など、約70名が来場しました。構造躯体が現しになった現場を興味深く見学した参加者からは、「比較的規模の大きな建物についても、木造で十分対応できることが理解できた」「木造の納まりや準耐火の考え方が参考になった」「一般流通材による中大規模木造化は、木材活用の糸口になると感じた」といった声が聞かれました。今後、構造実施設計や積算等に関する依頼の可能性を示す方もいらっしゃるなど、昨今の木材利用に対する機運の高まりに加え、木造化による経済優位性などから木造建築に対する関心の高さがうかがえました(図4)。

 ナイスグループでは、木造建築に関するファーストコール機能を有する「木造テクニカルセンター」を2020年4月に設立し、木造化等の相談を承っています。同センターでは、ファーストコールの段階でお預かりした図面や簡単なスケッチをもとに簡易構造計算を行った上で、概ね一週間で木造化の可否や躯体に関する概算費用などについて回答しています。これまでに1,000件を超える相談が寄せられ、事業化につながる案件も増加傾向にあります。今後、建築物の木造化・木質化を検討される際には、まずは木造テクニカルセンターのファーストコール機能をご活用ください。