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ナイスグループ 認定こども園「松島めぶきの森」が竣工 ウッドビルディングネットワークによる同業連携を実現

 ナイスグループが建築に携わった宮城県松島町の認定こども園が、このたび竣工しました。同物件では、構造設計に関するファーストコールを入り口に、当社が保有する「ウッドビルディングネットワーク」のあらゆる機能が活用されています。今回は、同物件の概要とともに、設計を担当した㈱楠山設計 設計主任の白石善彦氏のコメントをご紹介します。

「慈恵園」に続く意匠と構造の設計連携

 同物件の遊戯室には、10mを超える大スパンに対応するために、当社と日鉄建材㈱様で共同開発した商品で、「ウッドデザイン賞2022」を受賞した「S WOOD BEAM MORE」が採用されています。同商品は、在来工法や金物工法と併用し、必要な箇所のみに用いることができるため、コストに配慮しつつ大空間を実現する経済設計を可能とします。これにより、200㎡を超える柱のない大空間を実現しています(図2)。

加工・施工における同業連携

 同物件の事業化に当たっては、情報、構造設計、木材調達、生産加工、施工といった非住宅木造建築に必要なあらゆる機能を集約した「ウッドビルディングネットワーク」が活用されています。㈱楠山設計様からのご相談により構造設計を担当したほか、当社の調達力を生かし、一般流通材を中心に木材調達を行いました。

 また、同ネットワークでは、取引先様を中心とした社外との同業連携も可能となっています。同物件では、躯体材の加工について当社グループのナイスプレカット㈱が中心となって調整を行い、実際の加工作業は提携のプレカット工場が担当しました。施工についても、当社の取引先であり、建設事業を手掛ける地元企業様が、下請けとして建て方工事を行いました。

 当社グループは、同ネットワークの活用によって、事業全体のコーディネートから必要に応じた機能の補完に至るまで、あらゆる事業スキームに対応し、非住宅の木造化を推進していきます。

ディテールにこだわり魅せる木造建築を

株式会社楠山設計 設計主任 白石 善彦 氏

 「松島めぶきの森」は、事業主様の意向により当初から木造で計画されましたが、当時はウッドショックの影響もあり木材の調達に不安がありました。そこで、木材調達ネットワークを保有し、非住宅木造の構造についてもノウハウがあるナイスさんに相談しました。スケジュールがタイトな中、木材の調達から設計、施工に至るまで、ナイスさんや丸本組さんなどとの連携により、スムーズに進めることができました。

 今回の物件では、構造だけではなく木質感のある内装についても要望がありました。法規上、木を現しにできる面積は限られているため、いかに木質感を高められるかという点に苦労しました。大空間の遊戯室では、鋼管梁の下部に化粧材を貼って現しとすることで、温かみのある大空間を実現することができ、事業主様にも大変喜んでいただきました。

 また、園児が遊戯室から隣の調理室の様子をのぞけるように小窓を設置したり、木に直接触れられるようにあえて柱を現しにしたりと、園内での生活をイメージしながら、園児の皆さんがいきいきと過ごせるように工夫を加えました(図3)。加えて、縁側の庇を長く伸ばすことで、夏は強い日差しを遮り、冬は暖かい光が差し込むように配慮したほか、保育室の集成梁に枝をイメージした方杖を設置し、遊戯室と意匠上の統一感を持たせるなど、ディテールにもこだわっています(図4)。

 非住宅の木造化には様々な制限があるため、設計上の苦労が多いことも事実ですが、今回の物件のように事業主様の意向に沿った建物を実現できた時には、木造建築の設計に取り組んで良かったと思います。

株式会社楠山設計 公式サイト